肥満と介護の関係──未来の自分を守るために知っておきたいこと
誰もが思っています。
「老後はできるだけ“人の手”を借りずに、自分の力で生きていきたい」と。
でも現実は、
介護が必要になる人の数は年々増え、
その原因の多くは病気や筋力低下、関節の痛みによる 動けなさ です。
じゃあ、そのリスクを少しでも減らす方法はあるのか。
実はあります。
そしてその鍵になっているのが 肥満なんです。
「肥満と介護?」
あまり繋がらないかもしれませんが、2つは静かに、確実につながっています。
今日は、理学療法士・トレーナーとして多くの人の体に向き合ってきた経験から、
肥満と介護の見えない関係を、できるだけシンプルに書いていきます。
■ 肥満は膝から介護リスクを高める
体重が1kg増えると、膝には3〜4kgの負担がかかります。
太れば太るほど、膝の軟骨はすり減りやすくなり、痛みが出る。
最初は「ちょっと痛いな」程度ですが、
痛みが出ると人は動かなくなります。
動かなくなると……
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筋力が落ちる
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歩くのがしんどい
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階段がつらい
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外出しなくなる
こうして、静かに、ゆっくりと
要介護への坂道を下りはじめます。
介護の原因として多い「関節疾患」の背景には、
実は肥満が関わっているケースがとても多いんです。
■ 肥満は生活習慣病を引き起こし、それが介護につながる
肥満になると、血糖値・血圧・脂質が乱れやすくなります。
その結果として起こりやすくなるのが、
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糖尿病
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高血圧
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心臓病
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脳梗塞
特に脳梗塞は、
要介護の最大の原因です。
つまり、
肥満 → 病気 → 機能低下 → 介護
この流れが、見えないところで進んでいきます。
だから肥満改善は、見た目の問題よりも
未来の自分の生活の質に深く関わっているんです。
■ 実は「肥満の人ほど筋力が弱い」は本当
太っている人は筋肉がありそうに思えますが……
実際はまったく逆です。
ぼくが理学療法士として現場で見てきたのは、
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太っているのに立ち上がりが弱い
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一見がっしりして見えるのに階段が苦しい
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筋肉と脂肪のバランスが悪い
という方が非常に多いということ。
理由はシンプルで、
肥満の人は運動量が少ない傾向が強いから。
筋肉が減る → 動けない → さらに太る → もっと動けない
このループになると、
わずか数年でフレイル(虚弱)状態まで進行していきます。
■ フレイルこそ「要介護の入口」
「フレイル(虚弱)」とは、健康と介護の中間の状態。
そのサインは、
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疲れやすい
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外出が減る
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歩くスピードが落ちる
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ちょっとした段差につまずく
こうした、ほんの小さな変化です。
肥満だと膝が痛い → 外出しない → 筋力が減る
この流れでフレイル化が早まります。
これは40〜50代でも普通に起こる事です。
つまり“老後の話”ではなく“今の話”なんです。
■ 肥満は「メンタルの低下」も引き起こす
実は、肥満と介護の関係にはもう一つのポイントがあります。
それが メンタルの低下 です。
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身体が重いと外に出なくなる
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人と会うのがおっくうになる
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自尊心が下がる
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気持ちが沈む
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社会参加が減る
こうなると認知機能が落ちやすくなります。
認知症が介護の大きな原因であることを考えると、
ここも無視できません。
■ 肥満を改善すると、介護リスクは確実に下がる
じゃあ肥満は改善したほうがいいのか?
答えは「確実に YES」です。
体重が落ちれば、
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膝痛の改善
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血圧・血糖の安定
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動きやすさアップ
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睡眠の改善
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気分の改善
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将来の介護リスク低下
すべてが一斉に変わり始めます。
だから肥満改善は、
見た目のためだけじゃなくて、
10年後・20年後の自分が困らないための投資
なんです。
若いころの運動は未来の自分への仕送りという言葉がありますが、
まさにその通り。
今あなたがする小さな一歩が、
未来の生活の自由度を守ります。
■ 最後に:介護を遠ざけるのは「今日のほんの5分」
肥満改善と言うと、
「つらい運動をしないといけない」
「食事を極端に変えないといけない」
そんなイメージがあるかもしれません。
でも本当は違います。
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今日階段を使った
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ほんの5分歩いた
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夜の間食を1回やめた
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寝る前のスマホを10分減らした
こんな小さな行動の積み重ねが、
介護を遠ざける最大の武器です。
あなたの身体は、
小さな良い行動を必ず受け取ってくれます。
今日の5分が、未来のあなたの自由を守る。
これが、肥満と介護をめぐる静かな真実です。
