糖質制限ダイエットの真実──「短期で痩せる」か、「長期で変わる」か
糖質制限は、ダイエット界の“即効性チャンピオン”です。
1週間もすれば体重がストンと落ちる。
「私、ついに痩せたかも!」とテンションも上がる。
でも――ここが落とし穴。
その“急激な減り”のほとんどが 体脂肪ではなく水分 だということを、多くの人は知りません。
■ なぜ糖質を減らすと体重が落ちるのか?
糖質(正確にはグリコーゲン)は、水と結びついて体内に蓄えられています。
筋肉や肝臓にあるグリコーゲン1gに対して、約3gの水がくっつく。
だから糖質を抜くと、
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グリコーゲンが減る
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結びついていた水が抜ける
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結果、体重が一気に落ちる
という仕組み。
つまり糖質制限ダイエットの初期の体重減少は、
「水分が抜けて軽くなった」だけの現象 です。
もちろん、短期で体重を落としたい場面――
結婚式、検査、撮影前など――ではこの性質は非常に使えます。
僕も現場で「数日で体重が必要なだけ落ちれば良い」という人には、戦略として使うことがあります。
■ じゃあ長期的に見るとどうなのか?
ここが一番大事な部分です。
結論から言うと、
長期ダイエットに糖質制限は向いていません。
理由はシンプル。
■ 理由①:エネルギー不足で代謝が落ちる
人間の体は、
炭水化物 → 最も効率よく使えるエネルギー源
として設計されています。
糖質が極端に不足すると、
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だるい
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集中できない
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トレーニングの質が落ちる
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NEAT(日常の活動量)が下がる
結果、
総消費カロリーが落ちていく → 痩せにくい体になる。
「糖質制限してるのに全然痩せない」という人は、この状態。
■ 理由②:脂肪を燃やすためにも糖質が必要
脂肪燃焼には 代謝の火種 が必要です。
その火種となるのが炭水化物。
炭水化物をしっかり摂ることで、
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筋肉が動く
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身体が温まる
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代謝回路が動き出す
つまり、本当の意味で脂肪を燃やすには、
糖質は“必要不可欠なエネルギー” なんです。
■ 理由③:抜けば抜くほど「リバウンドの準備」になる
糖質を減らしすぎると、体は飢餓モードに入ります。
そして制限が終わった瞬間、
体は失った水分とグリコーゲンを取り戻そうとします。
結果、
一気に体重が戻る。
さらには、代謝が落ちているため脂肪もつきやすい。
糖質制限の後のリバウンドが多いのは、このためです。
■ 長期的に痩せる人がやっているのは「制限」ではなく「調整」
痩せる人は糖質をゼロにしません。
必要な量を、必要なタイミングで摂っています。
例えば、
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朝:活動量アップのためしっかり
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昼:炭水化物は普通量
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夜:少し控えめに
この“調整”で体調もメンタルも安定する。
だから続くし、結果として痩せ続ける。
僕が指導してきたクライアントさんの成功例を見ると、
共通しているのは 糖質とうまく付き合えている人”です。
■ 糖質は敵ではない。
糖質はあなたを太らせるものではありません。
太る原因は、
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総摂取カロリーのオーバー
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運動量の不足
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ストレスや睡眠不足
など、もっと根っこにある部分。
糖質はむしろ、
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エネルギーになる
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代謝を助ける
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脳を働かせる
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筋肉を守る
味方として使うべき栄養素です。
■ まとめ:短期ならOK。でも長期戦なら“糖質を味方に”。
短期の体重調整:糖質制限は有効。
長期のダイエット:糖質制限は不適格。
ダイエットは
「早く痩せるか」ではなく、
「痩せたままでいられるか」が勝負です。
だからこそ、
糖質を悪者扱いするのではなく、
正しく使って痩せていく。
これが、リバウンドとは無縁の本物のダイエットです。
